『エミレーツ航空の和食』と『コックピットへの招待』
機内食1回目
エミレーツ航空でRTWの発券地:モザンビーク・マプトに向かうフライトの<後編>です。
日本発着のエミレーツ航空の搭乗は初めてになります史上最安値のoneworld世界一周航空券(RTW)をファーストクラス4大陸で発券できました。マプト発券であった為、モザンビーク共和国の首都:マプトまで行かなければなりません。そこでポジショニングとして採用したのが、エミレーツ航空でした。この約1年半前、2015年10月に感動の初搭乗を果たしてから、昨年3月以来の約1年ぶりの搭乗となりました。こんな短期間で五たび世界最高峰のファーストクラスに搭乗できるとは、ただただJALマイルに感謝するばかりです・・・。 エミレーツ航空... EK:エミレーツ航空【B773ERファーストクラス】EK319:東京/成田(NRT)-ドバイ(DXB... - マイルでファーストクラス全制覇を夢見て-【凄腕マイラー】と呼ばれたい!- |
上空あがったところで機内サービスの開始となりました。ウェルカムドリンクでは炭酸水をお願いしましたが、いよいよ定番のドンペリを頂く事にします。
担当のMさんの「こちらの方が写り映えがしますかね?」というご提案があり、ボトルをグラスに並べて置いてもらう事に。
このMさんのさり気無い心遣いがフライト中、本当に心地良く感じました。日系キャリアのファーストクラス担当CAさんのように接客も言葉遣いも丁寧過ぎるという事もないので、こちらが返って畏まり、恐縮してしまって話しかけにくい・お願いしにくい、などという雰囲気を一切感じる事がありませんでした。前に着座していた欧米人の乗客も、Mさんとの会話の最中に頻繁に笑い声が聞きこえる程だったので、本当にお上手なのだと感じたのでした。
聞けばMさん、以前はJALに勤務していて、新卒で採用され、程なくして国際線デビュー。「徹底的に747で鍛えられました」との事でした。ニューヨーク線やサンパウロ線の勤務も多かったようで、色々と乗務員側のお話しも聞けて楽しかったですし、一方で倒産前の多岐に渡った機材などの話しでも盛り上がりました。
暫くして、時間も23時を回りましたので食事を頂く事にしました。このフライトは22時成田発、翌朝5時ドバイ着という約12時間のフライトで、食事は夕食・朝食が準備されていました。エミレーツ航空は事前に機内食の内容をホームページ知る事ができますので、せっかくだからと和食をオーダーする事を決めていました。
するとMさん曰く「エミレーツの和食には賛否両論ありまして・・・」と、守りに入るかのようなコメントが。日系キャリアほどの完成度は求めていませんよ、なんて本音も言える訳ないので、初志貫徹という事でそのまま和食をお願いする事にしました。『懐石料理』となっていたのでとても楽しみにしていたのです。
最初に『季節の小鉢』という事で三皿。
- 左~ビーフテンダーロインステーキとマヨネーズ、サラダ
- 上~さばとまぐろのたたき、海藻サラダ
- 右~桜豆腐の梅出汁ゼリー寄せ、わさびといくら添え
さすが日本で積み込んだだけあって、素材の新鮮さがよく分かります。特に魚、サバは特別な食材ではありませんが、機内食でしかも刺身で出てくると和食らしさを感じてしまいます。
そして次はもうメインとなる『台の物』と『御飯』、『止め椀』になります。
- 骨付き牛カルビの蒸し煮、漬物と旬野菜の煮物付き
- 炊き込みご飯と味噌汁
お肉についてはご覧頂いた通りの赤身が多く、個人的にはもっと脂身の多い方がジューシーで好みなので、少し残念でした。しかしながら、しっかりと味が沁み込んでいて、噛むほどにじわじわと旨味が口の中に広がる味付けは抜群でした。御飯もふっくら・ツヤツヤに炊き上がって美味しかったのですが、メニューにある炊き込みご飯ではなかったのは、三度ご愛嬌です。。。
そして最後は『和菓子』での締めになります。和菓子に合わせてドリンクメニューにあった『煎茶』をお願いしましたところ、急須で出てきたのにはまたまた驚きました。
しっかりとエミレーツ航空のロゴが入っているのにも驚きです・・・。
煎茶をすすりながらゆっくりしていると、Mさんがご親切にメニューに無い、フルーツも持って来てくれました。これで1回目の機内食は終了となりました。
この後、シートをベッドにセットして頂き、睡眠を取る事にしました。24時30分になっていて、出発から約2時間ほど経っていました。
機内散策
6時間半ほど寝る事ができましたが、キャビンは灯りを落としたままで、外も真っ暗です。いつもであれば、起床後はトイレを兼ねて機内散策に出掛けるのですが、自席の直ぐ後ろにあるカーテンからビジネスクラスの様子を伺うと、こちらも灯りが落とされていましたので、後方の機内散策は自重する事にしました。
せめてとばかりに、Aコン最前方にありますファーストクラス用の機内ラウンジの撮影だけ行いました。
以前、このエミレーツ航空77Wのファーストクラスに搭乗した際は、ファーストクラスの乗客は自分だけだったという事もあって、このようなセッティングは行われていなかったので初見になります。ロゴのある真ん中のドアが左にスライドし、その中がラックになっていました。
ボトルの値段でいうとドンペリよりも遥かに高額な”Hennessy PARADIS”もちゃんと陳列されています・・・。
実はこうして撮影している脇には、先程ベッドメイクをしてくれた際に「私もこれから休憩してきます。また後ほど」と言っていたMさんが既に勤務に戻っていて、R側通路最前方のギャレーに待機していました。そこにはもう一人の日本人FAのKさんもいて、L側通路乗客担当のFAさんが休憩に入っているという事で、ファーストクラスのギャレー担当からL側のバックアップに入っているという事でした。
中東キャリアであるエミレーツ航空のファーストクラスに、2名の日本人FAと1人の日本人乗客、日本線ならではの光景だとか話しをしていましたら、私のこれからの旅程や、以前のエミレーツ搭乗へと話題は移っていきました。JFK-DXB、DXB-LAXの搭乗について話すと、日本線以外でエミレーツ航空のファーストクラスに日本人が搭乗しているのは、お二人とも見た事がないとの事で驚かれてしまいました。。。
私なんかより、ずっと多く日本線以外のエミレーツ航空のファーストクラスで、世界中を飛び回っている凄腕マイラーさん方もたくさんいるので、それもまた恥ずかしい気持ちになったのですが、驚く事に、この後搭乗するDXB-DOH、DOH-DXBと続けて日本人FAさんに遭遇しまして、お二人同様に驚かれてしまったので、これが本当だったという事を後ほど知るのでした・・・。
機内食2回目
到着の2時間ほど前になって、朝食のご提案がありました。フライトマップを確認すると、パキスタンからイランに差し掛かるところでした。
そしてここでも和食をお願いする事に。今度はMさんも異議を唱えたり、守りに入る事もなく快諾してもらえました。
朝食なのでワンプレートでコンパクトにサーブされました。
メインとなる『台の物』の”ます”は脂の乗りもよく、御飯をお替りするぐらい美味しかったです。
一通り食べ終わった頃、Mさんが何やら両手でトレイを携えて顔を出しました。「今、ビジネスクラスの食事を覗いてきたのですが、『いいの』を見つけてきました。」と差し出してくれたのは、ビジネスクラスの和食でした。「温泉卵だなんて、我ながらエミレーツやる!と思って、お持ちしちゃいました」と。
既に先ほどの会話でエミレーツ航空の大ファンである事を分かって頂けたので、そのサービスなのだと感じたのでした。確かにこの温泉卵も中が半熟トロトロでよく仕上がってまして、出汁も薄味で黄身自体の濃い味わいを邪魔する事無く、充分に美味しかった味付けでした。
食事を終えるとMさんから驚くべき更なるオファーがありました。「コックピット、ご覧になりますか?」と・・・!これにはもう二つ返事で答え、大好きな機材:77Wのコックピットは初めてだと、感激して感謝を伝えたのでした。前回、エミレーツ航空A380のコックピットに招待してもらった時と同じで、到着後に降機が始めってしばらくしてから声を掛けてもらえるとの事でした。
ドバイ到着、77Wのコックピット
12時間のフライトもあっという前に到着です。
すると搭乗機はターミナルからどんどん離れていきます。コンコースBを通り過ぎ、A380専用のコンコースAの方へ。「77Wが何故?」と思っていると、そこもまた通りすぎました。そう、よもやの沖止めだったのです。
こうなると降機して直ぐにファーストクラス専用のバスが待機しているのが想定できます。コックピットを見学する間、そのバスが待ってくれているはずもなく、コックピットへと声を掛けに来たMさんに「専用バスでなくても構わない、コックピットの方が大事」である旨を先ず伝えました。「正にその事を先に申し上げようと思っていましたので・・・。」と返してもらったのには、短い飛行時間でしたが良い連携ができた心地良さを感じ、そのままの良い気分でコックピットに入る事ができたのでした。
ドアが開き、前回同様に歓迎されると思いきや・・・、キャプテンさんもコーパイさんも黙々と書類を作成していました。前回大歓迎をしてもらっただけに、やや拍子抜けでしたが、そんな忙しい中でも見学させてもらえるのは有り難い限りです。
まずは写真を撮っていいか?左側のキャプテンさんにお伺いを立てます。すると書類作成の手を止め、こちらの方を振り向いて「好きなだけ!」と快諾してくれました。「到着後の忙しい時に来るなよ!」と邪険にされている訳ではないと分かり、少し安心しました。
それでも長居できるような雰囲気ではなかったので、ネットに撮った写真をアップしていいか?と許可をもらい、「忙しいところ&疲れているところにゴメンね。でも大好きな77Wのコックピットは初めてだったから、興奮しました。」と感謝を伝え、退出する事にしました。
コックピットを出るとMさんが私の荷物を持って、待っていてくれました。「今までのヒコーキ搭乗の中で一番心地良い接客をしてもらいました。コックピットの件まで含め、本当に感謝しています。」と心からのお礼を述べて降機する事にしました。既にファーストクラスのバスは出た後でしたが、それでもビジネスクラスの乗客が専用のバスに乗り込んでいる最中でしたので、「あれにはまだ間に合います!」と、Mさんから最後のお心遣いを頂いたのでした。
77Wのような大型機での沖止めは、やはり迫力が違います・・・!
そしてバスでターミナルに到着。これでまだ3回目のドバイ国際空港ですが、この巨大なエレベーターを目にした事で「あ、帰って来た・・・!」と生意気にも感じるのでした・・・。
初めての日本発着のエミレーツ航空。機材で言えば、個人的にA380に大きく劣ってしまうと思う77Wでしたが、担当FAのMさんのお蔭で、これまでのヒコーキ搭乗の中で、満足度No.1のフライトだったといっても過言ではありません。国籍や言語、もちろん搭乗クラスやそのキャパ、飛行時間に機内食、そして何より機材という様々な条件がありますが、そういった諸条件を遥かに凌駕するほど担当FAさんの存在が大きいと感じた今回のフライトでした。
肝心のエミレーツ航空の和食の方ですが、正直日系キャリアの長距離ビジネスクラスと同じくらい、という個人的な感想です。しかしながら素材の新鮮さや味付けの絶妙さ、仕上がりの丁寧さなどを感じる事ができました。再来月の10月、今度は日本着なのでドバイ積み込みになってしまいますが、成田線の搭乗予定がありますので「その時もまた和食を堪能したい」と思わせてくれたほどの、和食の完成度なのでした。