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エミレーツ・ファーストで6回目の貸切はA380長距離路線!
定説を覆し、エミレーツB777-300ERの新ファーストクラスをJALマイルで攻略。
エミレーツがたった9機のB777-300ER新造機にしか搭載していないこの新ファーストクラスは、従来のファーストクラスから凄まじい進化を遂げ、他社のファーストクラスを大きく引き離す、誠に驚愕の性能を有するシートでありました。
ドバイ到着後は入国する事なく、エミレーツが誇るファーストクラスラウンジ群で約20時間のトランジットを満喫。
そして帰国します。帰りもエミレーツのファーストです。とは言え、今回の旅のメインはB777-300ERの新ファーストクラスであった訳ですから、この復路もエミレーツのファーストであるにも関わらず、A380の『プライベートスイート』であるにも関わらず、「もはや消化試合だな・・・。」と思って搭乗する始末です。
しかしながら私は後ほど、この発言を大変申し訳なく思う事となります。何故ならここに来て「これぞ正しくエミレーツ!」という極上のサービスを、この「消化試合」で提供してもらう事になるからです・・・。
ボーディング
最果てのコンコースCに辿り着くと、既に優先搭乗が始まっています。7桁マイラーの友人もコンコースCからの搭乗だったと言うし、後ほど担当して頂くキャビンクルーさんも成田線・関空線はコンコースCが多いとおっしゃっていました。A380なのに、A380専用のコンコースAではないと言うのは、日本路線はエミレーツにとって重要な路線ではないのかもしれませんね・・・。
滑走路の工事をしている関係で、搭乗が早まっているのかもしれません。搭乗券では2時15分が搭乗開始時刻でしたが、それより1、2分ほど早く搭乗は開始されました。いつも待たされる日系も見習って欲しいぐらいです。
ノーズギアカバーの【DD】でシップナンバーが分かる、エミレーツマニアの私です。ですのでぱっと見て「ん?【DD】!?、これまた随分古いのを回されたな・・・。」とA380でも二種類ある『プライベートスイート』の中でも、ハズレの方である事も即座に理解します。。。
エミレーツでまさか機材というハード面でハズレる事はないとお思いかもしれませんが、当たり・ハズレで言えば、間違いなくハズレの方もA380です・・・。こういったところでも「消化試合の感じは否めないな・・・。」と思いながら、UL1ドアから搭乗します。例によって優先搭乗に埋没してしまっていますので、シップサイドも撮影できなければ、入って直ぐのところにあるエミレーツのコーポレートロゴも撮影できず仕舞いです・・・。
そしてドアを入って左へ。手前のA側通路に入ります。後方好みとして【4A】を事前座席指定してありました。例によってA側なのは、太陽の位置を考慮しての事です。
「とりあえず(自)席だけは撮っとくか・・・。」と依然消化試合モードでデジイチを構えると、後方から「○○様ですか?」と担当して頂く事になる日本人クルーのCさんからお声掛けを頂く事に。すると「今日のファーストクラスはお一人様だけですので、こちらはギャレーに近いので移動されてはいかがでしょうか?」のお言葉が・・・! そうなのです、またもやエミレーツのファーストクラスでの貸切・・・。これで都合6回目です。たしかに長距離路線での貸切はありましたが、あれは77Wでしたので8席。そしてA380での14席も経験していますが、あれは超短距離路線のドーハ線。(凄腕マイラーさんが記事にされていたMCT線よりまだ1マイル短い)まさかA380の長距離路線で本当に貸切になるとは!?
とは言え、実は少しだけ予感はありました。。。エミレーツアプリよりExpertFlyerの方が信頼性が高いと分かり、搭乗するまでシートマップがずっとこの状態だったのですから。。。
貸切と聞くや、気分は【消化試合モード】から一転、実に現金なものです。。。喜び勇んで写真を撮り始めます。
ハード面が秀逸なエミレーツにあって、画面が小さく、タブレットが古いというハズレ機材である事は、もはや頭から消えています。
今まで、他の乗客の出入りが気になるだろうとの事から避けていた『1A』・・・、「今回はココに座っとこうかな?」と撮影をしていると、アルゼンチン出身のクルー:Lさんが「○○様、離陸の時はこちらですね!?」と日本語で声を掛けてきてくれました。さすが日本路線・・・。自己紹介をして、「じゃあ食事は『2A』で、寝る時は『2E』で、着陸は『3A』で」なんて冗談めいた会話をしている内に、いつの間にか英語に変わってるし、Lさん。。。
シート
そんな会話をフォローするかのように、すっと歩み寄って来てくれたのがCさん。「『1A』は人気のお席ですね。普段は人の出入りが多いところですので、今日みたいな(貸切の)日はよろしいかと思います。」と。「じゃあ、それなら・・・。」と『1A』に就こうとする私ですが、Cさんのコメントは続きます。「しかしながら『1A』は機体前方のカーブの関係で、頭上に少し圧迫感がございます。」と。なるほど・・・、後ほど撮影してみたら一目瞭然でした。
「あと、頭上同様に余り関係のないスペースかもしれませんが、足元の荷物を置くスペースも少し狭まっております。」とCさんの的確なお話しが続き、これまたなるほどです・・・。ピントが合っていない楕円形の部分の話で、これが他の席より中にせり出しているとの事なのです。
「最後に、窓が1つしかございません」とCさんから締めのコメント。
ですので今回は『2A』にしてみる事にしました。それにしてもCさん、的確・・・! 「この方、できる!」と感じます。。。
改めて自席の『2A』は・・・、
占有する窓が3つになります。占有する窓で言えば、『1A』が1つ、『2A』と『3A』が3つ、『4A』が2つという事が今更ながら判明。。。(おそらく反対の『K』側も同様です)
一通り撮影を終え、席も決まったところで、腰を掛けます。
搭乗後のサービス
すかさずCさんからおしぼりを頂く事に。
そしてすぐさまシャンパンでのウェルカムドリンク。
デーツはさきほど会話したLさんから。
アラビックコーヒーは、再びCさんからとなります。
スナック類の内容物は、往路のB777-300ER新ファーストと同じ物であると見受けられますが、やはり入れ物のバスケット自体は新ファーストの物とは違うようです。
そうしている間にセーフティビデオが流れ始め・・・、
やがてプッシュバックが開始。「次はいつ、戻って来れるのだろう・・・。」と非常に悲しい気持ちになります。今のところ今後エミレーツに搭乗する予定はなく、次回ドバイを訪れるのはエミレーツ以外のキャリア・・・。それでいてアブダビ発の予定になっておりますので。
Cさんからお願いされました。今まで英語が堪能でないのでお断りをしていましたが、嬉しい事に今回は日本語仕様! このタキシングの時間などを利用しまして誠心誠意お答えさせて頂きました。ですので、どうか当たりますように。。。
機内食1回目
上がってからのドリンクサービスは、再びシャンパンを頂きます。
ファーストクラスを担当するもう一人のクルーさんはAさん。少しお話ししていて、Aさんのお母さんのご出身地が私の地元である事が判明!その事などでもっとお話ししたかったのですが、今回はあまりAさんとは話す機会がなく、とても残念・・・。
撮影用にとボトルを置いてくれるAさん。やっぱりエミレーツのクルーさん方はマニアにも優しいと感じます。でもちょっとモニターに映る背景が。。。『検察側の罪人』を見ていて、松重豊さんがとんでもない表情で一時停止されています。。。久しぶりにIFEで映画なんて見たものですから・・・、次回から気をつけます・・・。
定番ですが温かいナッツもサーブされます。このナッツの有る・無しが搭乗後のウェルカムサービスの時との違いになるかと思います。しかしながらEK316便も深夜便扱いになりますので、カナッペがサービス含まれていないのは残念です。
しばらくしてから『冷たい軽食』扱いの”キャビア”。
担当のCさんが「ウォッカもお出ししますね。」とサーブしてくれました。ちょうどお願いしようとしていただけに「このタイミング、さすが!」と改めて感心します。
そのCさんからの小噺?として、アメリカのイラン産キャビアの禁輸の話しがあり、キャビアを残してアメリカに到着する訳にはいかず、到着前に「これは余る・・・。」と感じた時にはクルーで一斉にキャビアの消費に掛かるとか・・・!
最近はイラン産ではなくなり、一安心との事。またその当時は大きな容器に一括で入っていたそうで、その消費に本当に困っていたとの事です。余りにも困り果てて、キャビアの保湿成分が肌に良いとまことしやかに囁かれていたので、消費の為にキャビアパックに挑戦したクルーもいて、その後匂いに付きまとわれ苦しんだ、とキャビンクルーさん方の苦労話(?)をネタのように上手にお話しするCさん・・・、ユーモアもありますね!
お話しの後、更に『冷たい軽食』の”数種類からお選びいただける寿司”(全部)を頂いて1回目の機内食は終了。一度休む事にします。
機内食が出るまでの間、Cさんがキャビン前方で何かしているな?とは感じていましたが、まさか自分しかF客はいないにも関わらず、ファーストクラス専用の機内ラウンジをセットアップされていました。
驚いた私の「わざわざセットアップされたのですか!?」問いに、「○○様がいらっしゃいますからね。」とサラリと言ってのけるCさん。いえいえ、ココが映えるポイントで私が写真を撮る事を、撮りたいだろう事を慮っての対応だと分かりますよ。ホントにマニアにも優しいクルーさんで大感激です!
歯磨きを終えキャビンに戻ると、当然の事ですが他のF客が誰もいません・・・。改めて、A380ファーストクラス全14席が貸切とは凄い事です・・・。これが77Wならコックピットクルーが寝ている事がありますが、A380ならコックピット内に仮眠ベッドがあるから、わざわざコチラまでは来ないのかもですね。
「別の席で寝ますか?」とLさんに聞かれましたが、自席でのベッドをお願いしていました。
手回り品がそのまま手元にあった方がいいからですね。
パキスタン上空で就寝します。
機内食メニュー・ワインリスト
目が覚めたのは3時間ほどしてから。中国の真ん中あたりです。
到着までまだ6時間半もありますが、もう眠れないとも感じますし、夕方日本に着いてから夜ぐっすり眠れるようにもう寝ない方が良いとの判断からも、起きる事にします。
離陸前後に機内食メニュー・ワインリストの撮影をしていなかった事を思い出します。
このEK316便も深夜便扱いで、機内食がショボいです。出発するのが深夜でも、到着するのは夕方な訳ですから、ちゃんとしたコースメニューを準備して、カナッペまでサーブして欲しいものです・・・。せっかくエミレーツのファーストクラスなのですから・・・。そして例によって機内食メニューはウェブサイトで公開されていましたので、事前に確認は済ませてあります。
ソフトドリンクなど
カクテル・その他アルコール
スピリッツなど
深夜便なので、コースメニューは朝食のみ。
そして、このページで食事の選択は終了。エミレーツ、残念ながら激ショボですよ!
前にも言いましたが、たったこれだけの激ショボメニューで、和食について語ってはダメだと思うのです。
一人だけでしたので、今回も扉を開けたまま就寝。目覚めた後も開けたまま撮影などしていたものですから、Cさんが何も言わずに差し入れてくれたマンゴージュース。Cさんからのとても心地良いおもてなしが続いております。
マンゴージュースを頂きながら、今度はワインリストを撮影。先ずはシャンパン。
白ワイン
赤ワイン
そしてデザートワイン。あまりコース後にフルーツやチーズを頂かないので、なかなか行きつく事がありません。。。
以上、撮影を終えてだらだら過ごしていると、Cさんから就寝前にご提案のあったビジネスクラスラウンジへのお誘いが。大分目も覚めてきたので、お願いする事にします。
機内散策
Cさんのアテンドを受け、やって来ました。担当のクルーさんの他にお二人のクルーさんが寛いでいるようです。「休憩中にごめんなさい」というと、「いいのよ~」という感じで撮影に適するようにとカウンターを空けてもらえました・・・。
そのクルーさん方をバックに、Cさんがメニューを掲げてくれます。アテンドして頂けるだけでも感謝なのに・・・、こうしてブログ用の写真も意識して下さる、本当にマニアにとても優しいCさんです。
ラウンジからの戻り、UL1ドアのところで今度は非常口ドアの展開について説明してくれます。アッパーデッキとメインデッキで違いがある事、展開前の与圧方法でエアバス機とボーイング機では違いがある事など、マニュアルを熟知しているクルーさんならではのマニア向けの講義。。。非常口ドアが展開される事態なんて実際には遭遇したくはありませんが・・・、もしそのような事があればきっと今日のCさん講義を思い出す事でしょう・・・。
当然ながら他の乗客の居ないファーストクラスキャビン。「シャワーはもう少し後で大丈夫です」とCさんに告げると、今度は昨今の航空業界の『とらばーゆ』事情についてお話ししてもらえる事に。キャビンクルー編とコックピットクルー編の2部構成で、中でも【KEの日本ベースの日本人】キャビンクルーの話と、【中国系の大奮発引き抜き条件】コックピットクルーの話が興味深かったですね。
そして『シャワースパ』の時間が近づいてくると、今度はその専任の【キャビン・サービス・アテンダント】さんの話題へと。採用から、勤務内容、シャワースパの路線を減らしている現状などについて話すCさんに、こんなマニアに付き合ってくれてと本当に有り難いと感激する私です。。。
通常の倍で10分間! 天空のシャワー『シャワースパ』
すっかりCさんにお世話になりっぱなしの中、シャワーをお願いしていた時刻が到来。お仕事もしっかりとこなされるCさん、「よくご存じかとは思いますが、一通り説明だけはさせてください」と『シャワースパ』の説明をしてくれます。操作方法、乱気流が発生した際の対応、更には緊急時の対処法など、中には経験がある乗客には説明を端折るクルーさんもいるとの事ですが、「約束事ですので」と真剣にお話しをされるCさんの眼差しはかっこいいです!
そんな真摯なCさんのお話しをちゃんと聞いていたご褒美でしょうか?、「では今日は特別の10分にシャワーをセットしますね!」と真面目な表情から一転、満面の微笑みで驚きのオファーがCさんから出てきました! しかしながら自分で言っておきながら時間の設定方法を失念し、Lさんを呼びに行くCさん・・・。この振り幅の大きさにはやられましたね。。。
そして実際のシャワーへ。確かに長い!とても時間が長く感じました!!タイマー等セットした訳ではなく、あくまでも体感によるものですが「こんなに(ゲージが減るの)遅かった?」と思うほどで、貸切効果で普段より贅沢な天空のシャワーを堪能する事ができました。。。
シャワー後、ドアを開けると目にする光景です。『シャワースパ』の時間帯(だいたい到着の3時間前以降)になるとファーストクラス専用ラウンジの設えは大変貌を遂げます。私ひとりとは言え手を抜かない、Cさんの姿勢には本当に頭が下がります・・・。(見てはいませんが、Cさんがされたと信じて疑わない私。AさんかLさんでしたらごめんなさい。。。)
そして『シャワースパ』後は毎度こちら。口の中までスッキリする訳です。
機内食2回目
到着予定時刻の2時間前、もう一度機内食を頂きます。
2回目も懲りずに和食。。。
和食に合う飲み物が自分では思い浮かばず、Aさんに尋ねたところ・・・、笑顔でシャンパンを勧めてくれました。普段は日本到着後はそのまま国内線に乗って地元空港へ、そして運転する運びとなりますので、あまり日本到着前にアルコールは頂かないのですが、この日は大阪に後泊ですので、ありがたく頂く事にします!
『朝食(和風)懐石膳』、それにしても相変わらずこの夕方の時間に、朝食という扱いはどうにかしてほしいですね。。。返す返す、本当に機内食だけが残念で仕方ないフライトでした。
『台の物』鱸の照り焼き
『季節の小鉢』鰻の焼き物 キュウリと土佐酢(上)、クコを添えた明太子ポテトサラダ(下)
『季節の小鉢』筍の土佐煮 野菜の煮物 蒟蒻のあんかけ(左)、豆ご飯
味噌汁
季節のフルーツ
更に盛りは少ないとAさんから教えてもらって、『鶏カツ』を追加。残念ながらイマイチ。
例によって日本茶で締めとなります。
関空到着
食後くつろいでいると、非常に残念ながら関空に近付きつつあります。
淡路島の南を迂回して、関空に進入するルート。そして程なくしてランディング・・・。エミレーツのA380ファーストクラス、全14席を貸し切ると言う素敵な時間はあっという間に過ぎ去ってしまいました。。。
降機時、ドアが開く前という最後の最後タイミングでCさんから嬉しいお誘い。それはファーストクラスを担当してくれたAさん、Lさんも加わっての記念撮影!@UL1ドア前。最後の最後まで本当にマニアを喜ばせるツボを熟知されているように感じます。しかしながら「そのドア開けなくていいの!?」と、シャワーの時間設定の件がありますので、何故かCさんの行動に私がヒヤヒヤする始末。そんなCさん、フォトフレームにメッセージまで添えて頂き、私としては感謝感激です!
それを有り難く受領して降機。本当にあっという前の10時間でした。。。
搭乗を終えて・・・
常日頃『ファーストクラスの優劣はハード面だけでは決まらない』と思っています。それは主に、機材というハード面では及ばないけどソフト面で大いにカバーできる、日系のファーストクラス搭乗の感想で感じる事でありますが、それがまさかハード面では最優秀な分類に入るエミレーツでこれを実感するとは思いませんでした。最優秀な分類ではありますが、今回搭乗したA380は、前述の通りエミレーツが最初に導入した時期の機材、いわば最古参に上げられるもので、タブレットがスクエアタイプに刷新された新A380や、機内ラウンジが改修された最新A380ではなく、エミレーツのファーストクラスとしては一番ハズレのA380。
ファーストクラス貸切の効果もあるかもしれません、そんなハード面がハズレの場合であったとしても、今までのエミレーツのクルーさん方の中で一番マニアに優しかったCさんの接客というソフト面のおかげで大満足のフライトとなりました。『ファーストクラスの優劣はハード面だけでは決まらない』、それを自分で再認識したフライト。そして搭乗前に「消化試合」と思っていた事を本当に恥ずかしく感じたフライトでもありました。